翌朝、僕らはUK・シンが運転するアンバサダーのタクシーに乗っていた。これが僕らがとった最良の選択だった。パトナーのバスターミナルで、ブッダガヤーに戻るしか方法はないといわれたとき、僕は体力の限界のようなものを感じていた。体が動かないというわけではない。脳の働きに黄色の信号が点滅しているような感覚だった。恒常的な睡眠不足が血を濁らせていた。夜行バスが三晩もつづいたのだ。判断力がないというより、考えることを脳が拒否しはじめているような気がした。
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まずベッドだった。パトナー市内の宿に入り、シャワーを浴びた。開け放たれた窓から吹き込む風にひと晩晒され、体は汗臭く髪の毛は汚れでべっとりと重かった。手は煤け、爪は真っ黒だった。髪の毛はシャンプーをつけてもなかなか泡がただなかった。シャワーで洗い流すと、どす黒い湯がバスタブを流れた。僕につづいてシャワーを浴びたカメラマンもさっぱりした面持ちで浴室から出てきた。「インドのバスってすぐ汚れる。どす黒い泡がでますからね」カメラマンとはこんな旅ばかりしてきた。